2011年4月6日水曜日

2010年12月 2011年1月、2月、3月

去年の12月、今年の1月、2月、3月に詠んだ短歌をまとめておく。既にこのブログに公開した歌が8首、そうでないものが18首で、計25首。御感想を頂けると嬉しい。

雪降りて真白にならむ大地思ひ幾多の色の現実に立つ

夕闇に工業団地の灰色の煙たゆたふ空へ雲へ

無灯火で自転車こぎゆく暗闇にからだ融けあふもつともつと黒へ 

雪ふらすぼんやり白き空ながめ自転車の鍵かちりと閉めつ

傘散らす雪の軽さに身をゆだね誰も通らぬ白き道ゆく

ほそぼそとわだち頼りに踏みゆきし昨日の想ひ除く除雪車

尾長もつ胸の曲線なめらかに白く交はる雪原を見つ
(胡椒挽きのもつつややかな曲面に君の煙草の歪むを見たり  田口綾子「風上に立つ」)

鈍き音軋ませ緩く止まりたる老いし車輛は雪降る中に

舞ひ降れる雪に埋もるる米原駅まいばらにスプリンクラーはかなく水を

夢のなき街をくぐりて地下鉄は仄かに青く暮るる地上へ

立つ虹の流れをたどり消えてゆく淡き終りを見つめてゐたり

ふるさとの駅に迎への自動車のあることそこにただ あることの

美容師の刻むリズムは軽やかにわたしの髪はもうただの 景色

回転する欲望 回る寿司見つめ少しさみしく鯵の皿とる

乾杯の声テーブルにゆきかひて淡きビールのにがさ噛み締む

ゆきどけに水面はあり冬舗道ひかりを受けていづこにも空

わたしには昨日のあなたの微笑ほほゑみの理由がわかりかねて 月面

山の端も田の面も紅き夕影を見せてひとすぢ白きセスナ機

はくたか・とき・東海道線と乗り継いで小田急線の青き縞見ゆ

つぎは、ひらつか、ひらつかです人のまばらに立つ車両降る

淡雪の降る山国を離れ来てやや暖かきふるさとの風

交差点の傍らに立つ郵便ポスト 行き合ふ自動車くるまは絶ゆることなく

東光飯店・四五六菜館 中華街は街のつづきにゆるやかにあり

とどめたくもとどまらず去る船は長く永く波紋を残しゆきたり

少しづつ回る観覧車デジタルの時計は3時11分です

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