去年の11月に詠んだ短歌をまとめておく。14首。御感想を頂けると嬉しい。
しじみ蝶
収穫を終へし田の面に組まれゐる 藁の構成 我の構成
透明な秋のひかりにくれなゐのほほづきひとつふたつみつよつ
人びとのあゆむ速さに滲みゆく銀杏並木のあをいろきいろ
焦げ茶色の陸橋に汽車はあらはれずあとすこしだけ此処にゐる 時間
とびとびにとぶ雲を見るあきかぜのはてにはなにもない空もあり
夏には花でうめつくされたこの場所にいまふたひらひらく秋の薔薇みゆ
百合の木の量感あはく色づいた茶色い葉から順に落ちてゆく
くすりゆびで引つ掻いたやうなきづあとを(そこにはゐない)雲がのこした
すこしだけさみしくなつた銀杏の葉の空白にまた冬が来りぬ
ポケツトから柿の実ひとつ取りだして
赤さびた柱に組まれし廃屋に 吹きぬくる風 生えのぶる蔦
冬薔薇の棘の硬さに食ひ込んだ人差し指に血は出て来ない
木の椅子は秋のひかりに温かく降りやまぬ葉の重さをおもふ
しじみ蝶のからまりあつて昇りゆく 太陽にかさなつてみえない
収穫を終へし田の面に組まれゐる 藁の構成 我の構成
返信削除(「構成」は固い漢語の、およそ短歌にそぐわない詞と思うのに、案外、私は、好きです。文学に用いられる言葉です。だから、上句に対して違和感が少ない)
透明な秋のひかりにくれなゐのほほづきひとつふたつみつよつ
(下句の、やわらかさは、あなた様のもって生まれた精神の柔らかさをあらわしているように思います)
人びとのあゆむ速さに滲みゆく銀杏並木のあをいろきいろ
(やはり、前歌と同じように、上句と下句の対照が際立っていて面白い。秋の淡い陽のようにやわらかさが滲み出る歌です)
夏には花でうめつくされたこの場所にいまふたひらひらく秋の薔薇みゆ
(わが庭に、今、ふたつの深紅の薔薇の蕾が開かないでいる。夏と秋の季節の対照が際立っていて面白い)
百合の木の量感あはく色づいた茶色い葉から順に落ちてゆく
(ユリノキという、エキゾチックな植物を取り上げたの良い)
すこしだけさみしくなつた銀杏の葉の空白にまた冬が来りぬ
(季節への、あなた様の感受性の鋭さを詠んであまりなく)
ポケツトから柿の実ひとつ取りだして一寸(ちよつと)なげてみる軌道のやうな
(つれづれなる仕草の楽しい歌になりましたね)
冬薔薇の棘の硬さに食ひ込んだ人差し指に血は出て来ない
(あなた様のつれづれなる気持ちが現れているようです。少年のような感受性)
木の椅子は秋のひかりに温かく降りやまぬ葉の重さをおもふ
(詠み方、歌の内容の優れていて、正岡子規のあとを慕った、伊藤左千夫、長塚節、島木赤彦の雰囲気をもった歌です)
大学の教員、クラスメートと交流を深めていることと。
大和の、一年生の孫の、こうすけちゃんは、寒いので、登校をしぶっています。美味しい給食が出るのと、友達が待っているのでと、けしかけています。
ご自愛のほど祈ります。/E
二首目と三首目、柔らかいと云って頂けて嬉しいです。
返信削除季節の移り変わりというのは面白いですよね。特に秋の樹々の葉の移ろいはその変化を体現しているようで。
可愛らしいお孫さんがいらっしゃるようで良いですね。