2012年9月16日日曜日

塔 2012年9月号秀歌選

短歌結社誌『塔』の9月号を読んだ。今月も秀歌選をつくってしまおうと思う。『塔』2012年9月号に掲載されているすべての短歌より5首選んだ。掲載順に記す。

1 サンドイッチのバターの塩気ほど良くてわけのわからぬ涙のにじむ  栗木京子

2 塗り残したところが淡い雲になりそれは若き日いた比叡だ  吉川宏志

3 海鹿島あしかじま駅のベンチの背もたれにさしみしょうゆの看板ありぬ  田村龍平

4 乳色の路面電車がとおざかる立夏 とうふを無造作に切る  田村龍平

5 マタキット、キテクダサイは悪くないひびきだエビチリ甘すぎたけど  相原かろ

1にはわけのわからない抒情がある。2は、作者の若い日の絵という、そのままでは、小恥ずかしく、また読者にとってはかなりどうでもいい事柄を、緻密な描写のあとに置くことによって、瑞々しい感動に転換させている秀作。4は「立夏」と「とうふ」の間に立ち込める得も云えぬ緊張感を楽しみたい。

甘すぎたエビチリ…。

2 件のコメント :

  1. 「良い短歌は結社の内に留まるべきではない」、熱いですな。

    1 わけわからんくて笑えるけど、いいですね。
    東京を旅行した時に短歌を詠んだので、2学期に京大で見てください。

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  2. 東京旅行されたんですね。ぜひ拝見させて頂きたいです。

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