2012年9月20日木曜日

目をあけてゐるひとと

国立劇場に文楽を見にゆく。文楽を見るのは初めてだけれど、もっと渋いものだと思っていたから、派手な演出に驚いた。「傾城阿波の鳴門」のラストではチャンバラで人形の頭がかち割られてびっくりしたし、「冥途の飛脚」のラストでは雪が降り出して、死出の旅路をゆく男女が寒さに抱き合って小刻みにかたかた震える人形遣いの技にまばたきもできず、拍子木の音の告げる閉幕に、ただ、他の観衆とともに大きな拍手を送るより他になかった。

新宿へむかふ車窓に目をあけてゐるひとと目をとぢてゐるひと

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