2012年5月5日土曜日

聞きわけながら

亀岡へゆく。亀岡市は京都市の西隣の市で、京都中心部の整然と区画された街並とはうってかわり、美しい田園が広がっている。こんなにいいところに来たのは久しぶりだ。確かに京都の寺社は素晴らしい。これまでに訪れた銀閣寺、青蓮院、天龍寺はいずれも、非の打ちどころのない庭園を有していた。さまざまな植物を寸分の隙もなく配置する造園技術には、平安以来の京都の重厚な伝統を感じずにはいられない。いられないが、どのように優れた庭園も、自然の美において、一枚の水田に勝ることはできないのだと思う。

鳥のこゑを聞きわけながらまだなにも植ゑられてゐない田を歩みをり

4 件のコメント :

  1. この3首もまた素晴らしいの一言ですね。。。
    圧巻、という言葉を遣っていいのでしょうか、このような場合。
    どの歌も大好きで、やはりひとつだけを選ぶことはできないです。
    京都に移られたことは、なにか作歌に良い影響を与えているのでしょうか。

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  2. ありがとうございます。京都に移ったこと自体はどうかわからないですけど、京大短歌の歌会に参加していることは大きいですね。実はこの亀岡の歌も本当は4首あって、1首歌会用にキープしてあります。金曜日にこの記事に追加するんで良かったら見てください。

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  3. 鳥のこゑを聞きわけながらまだなにも植ゑられてゐない田を歩みをり
     (やや不協和音のこの歌には、新しい土地に来て、あなた様の心の動きを表しているのでしょうか。)
    保津川のながれにそひて移りゆくみづいろの空ももいろの空
     (私は、保津川の記憶がありません。幼時に両親に連れて行ってもらっているかもしれません。やや抑揚の少ないが、順調な歌に仕上がりましたね)
    小麦のなかを去りゆく電車 わたくしも先へと進まねばならぬゆゑ
     (この破調は、あなた様の五月の心模様を表しているのでしょうか。尾崎放哉然とした、短歌形でしょうか。新しい暮らしの中で、ストレスを歌に昇華されていることでしょうか)

     それにしても、あなた様の写真が素晴らしい。カメラが良いのでしょうか。
     亀岡の田、嵯峨野の風景は、澄み切った特徴があります。
     あなた様の純粋な心模様そのものであることに気づきました。/E

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  4. カメラはオリンパスのミラーレスデジタル一眼のE-PL1を使用してます。軽くてどこへでも持ち運びできて、この写真の緑とか、空や海の青、花の赤なんかを綺麗に表現してくれる頼もしいカメラです。

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