3月に詠んだ短歌をまとめておく。既にこのブログに公開した歌が5首、そうでないものが2首で、計7首。御感想を頂けると嬉しい。
爪
あさみどり苔しく幹にてのひらをかさねて遠き沢の音をきく
(はかなしやわが身の果てよあさみどり野辺にたなびく霞と思へば 小野小町『新古今和歌集』)
雲の色をたしかめたくて
蟹の爪ひからびてゐる海岸に薄墨色の雲を数ふる
灰色の世界が変はる海の辺にあまねく光ゆきわたるとき
あたたかき風に誘はれ軍艦のただよふ春の横須賀に来ぬ
鈍い青たたへて朝の浜名湖は僕らの
紋黄蝶とんでゐる場所 あたらしき部屋に来りて庭を眺むる
全部好きだなぁ。。。ひとつを選ぶのは難しい。
返信削除でも・・・一首めがいちばん好きかな。
こころに清涼感が広がるというか・・・こういう世界がわたしは好きです。
拝啓 後の三首が、眼に浮かぶようで、印象深く。(これら三首は、別の機会に作られたのでしょうか)私の好みの短歌です。
返信削除あたたかき風に誘はれ軍艦のただよふ春の横須賀に来ぬ
(このような春の情景もあったものですね。不思議な感じを受けます。横須賀は、テレビで見て、行ったことがありません。あなた様のふるさとの近くですね。非短歌的な「軍艦」を用いて、茫洋として。地名「横須賀」がいい。)
鈍い青たたへて朝の浜名湖は僕らの高速道路(フリーウェイ)を見てゐた
(浜名湖は、湖よりも海のようでした。大阪湾岸道路のように、浜名湖岸に、人工物が渡っているのでしょうか。「鈍い青たたえて」の、浜名湖がいいですね。湖畔の舘山寺温泉にて鰻料理を食した思い出。対象物が、逆に作者を眺めているという発想。)
紋黄蝶とんでゐる場所 あたらしき部屋に来りて庭を眺むる
(二句目で切っているのは、歌の流れとして作者の意図があるのでしょうか。新規な場所にたたずむ作者のなりふりが浮かんできます。例えば、漱石「坊ちゃん」の、新しい下宿に着いたときのように。)
新しい環境で、さっそく意欲的に詠んでおられることを祝し、ご自愛のほど祈ります。/E
一首目と表題作の御歌はとてもおもしろいと思いました。
返信削除最近短歌や俳句から離れていましたが、助詞の重みを少し思い出した気がします。
昨年と少し雰囲気が違う気がします。
どういうところが…というのがはっきり言えなくて申し訳ないのですけど。
ところで、浜名湖の一首、不思議と夏の風景を思い出してしまいました。
「僕ら」というところからそうイメージした気がします。
>HANAさん
返信削除一首目、良かったですか。「あさみどり」を最初に持ってきたのは新古今集の
はかなしやわが身の果てよあさみどり野辺にたなびく霞と思へば 小野小町
からのアイディアです。この歌は丹沢で詠んだんですけど、現実の状況からは若干ずらしてあります。
>HaraTetsuyaさん
返信削除後ろの二首は場所は別ですけど日は同じです。
駅のすぐ近くの海に軍艦が浮いてるんですよ。多分展示用のやつだと思うんですけど。いい場所なんで一度行ってみるといいと思いますよ。
浜名湖は大きいですね。僕も驚きました。高速道路は東名高速道路です。浜名湖のすぐ脇を通っています。鰻は僕も好きです。あのあたりは養殖が盛んですよね。自分が世界を見るっていう制約から脱したくて最近いろいろ試みてるんですけど、まだまだ下手です。
紋黄蝶を強調したくて切ったんですけどあまりうまくいってませんね。「坊っちやん」はこれから読もうと思ってます。
いや、実はそんなに盛んに詠めてないんですよ。京都はどうも整備されすぎているようでおもしろい自然が少ないんで・・・。
>晋冶さん
返信削除助詞は重要ですよね。「て」が便利すぎていつも頼ってしまいます。
確かに去年とは作風が違いますね。口語表現が多めになってます。あとは心情的には、この3月は絶望感や悲壮感に欠けているので、ちょっと軽い感じですね。最近は作風が安定しなくて一首ごとに変わっちゃってます。希望としてはもっと渋いのを詠みたいんですけど・・・。
確かに「僕ら」は夏っぽいですね。どうしてでしょう。
浜名湖のうたがいいです。「僕らの」というのがきいています。
返信削除だけど本当は朝の湖というのに弱いのかも。
僕は生活リズムが破綻してますからね。
朝の湖なんてのにとても弱い。
早朝の高速道路はヘッドライトをつけた車が走る。
それに幸せな思いを重ねられる生活を送っているもんだから
どうにも魅力的です。
僕としてもこの歌のポイントは「朝の」です。なかなか朝の自然を愛でる機会はないですからね。今は早寝早起きしてますけど、僕も以前は生活リズム破綻してたんで、早朝にはなにか珍しいものを見るような趣を感じます。
返信削除