2010年12月7日火曜日

堀口星眠 秀句選2

一俳句ファンが勝手につくってしまう秀句選、第2回は堀口星眠(1923~)だ。彼は東京帝国大学卒業の医師で、在学中に同じく医師である水原秋櫻子に師事した。星眠は「高原派」と呼ばれるほど、高原を題材にした作品を多く残している。『堀口星眠』(春陽堂)所収の自選300句より19句選んだ。掲載順に記す。

1  髪切虫一庭荒れしまゝの夏

2  百舌鳥の朝噴煙天にとゞこほる

3  教会のくらさ向日葵を見しゆゑか

4  とりどりの秋果買ひゆけりミサのあと

5  地の涯に夕映ありぬ青すゝき

6  星の空なほ頬をうつ粉雪あり

7  せきれいや日のさす方に雪しげく

8  雪渓に石投げて音かへり来ず

9  時鳥ゆふづく町にセロリ買ふ

10 夏痩せてゆふすげ淡き野にきたる

11 噴煙の下密猟の銃鳴らす

12 暮るるまで雉子鳴きし夜の月まどか

13 雲爽やかキヤベツの高荷人載せて

14 父といふ世に淡きもの桜満つ

15 胸ひらく母の眼をして斑雪山

16 軍配昼顔熱砂をにじりつつ咲けり

17 晩夏なりぶなまた橅の旅にあり

18 鯛焼の順を待ちをり田舎医師

19 夢もなき顔をして売るシヤボン玉

言葉が非常に洗練されていて、淡い光の中にいるような透き通った印象を受ける。

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