去年の6月、8月、9月、今年の1月と2月に詠んだ短歌をまとめておく。既にこのブログに公開した歌が2首、そうでないものが13首で、計15首。御感想を頂けると嬉しい。
地平
蒼鷺の澄める
アヲサギハウゴカズ 動く私もしばらくは蒼い身体を見つめてゐよう
純色の構造物と水田に囲まれて雨後の富山市に立つ
一二三四五六七八九鴉ばかりの水田である
夏風は田の面をゆらし、いつからか波のかたちは変はらぬままで
簡単な人でありたい薄い雲ばかり行き交ふ夏空のもと
(かんたんなものでありたい 朽ちるとき首がかたんとはずれるような 佐藤弓生『眼鏡屋は夕ぐれのため』)
大きさがわからないから 雨をもつ雲と雨をもたない僕と
この町の
暮れてゆく街並はあり少しづつ紅き地平へ向かふ雲見ゆ
墜落のかたちをなしてひとすぢの雲が裂きゆく天空を見る
踏切の鳴る音がする冬空にまだ青い街の色を見てゐた
(うつくしい牛の眼をして運命がまだやわらかいぼくを見ていた 佐藤弓生『薄い街』)
駅の上を鳥が飛んでゆく 僕たちはまだ青い街の色を見てゐた
逆光のなかにある街 清水の舞台の傾斜たしかめながら
水中のあしをわづかにはためかせ鴨は水面に静止してゐた
円形の波紋を